株式会社アクポニは「アクアポニックス」という、野菜を育てる水耕栽培と魚を育てる陸上養殖をつなげた食料生産システムを提供している企業です。
5年ほど前からアクト・アップを活用いただいており、アクアポニックスに特化した「アクポニ栽培アプリ」の開発にも弊社は携わらせていただいています。同社の農場管理者を務める怒和さんに、アクト・アップを導入した経緯や、現在の活用方法を伺いました。
養殖と農業を一括管理できるアプリがなかった

ーーまず、アクアポニックスについて教えていただけますか。
アクアポニックスとは、魚の排泄物を野菜の肥料として循環させる農法です。魚と野菜、微生物が共生関係を作って成り立ってるシステムですね。現在、弊社の農場では、ロメインレタスなどのレタス類、バジルやディルなどのハーブ、魚はニジマスとチョウザメを育てています。
ーーアクト・アップ導入前の課題を教えてください。
「養殖の記録ができるアプリ」「農業の記録ができるアプリ」はあったのですが、養殖と農業を同時に記録できるような、アクアポニックスに特化したものはこれまでありませんでした。養殖と農業を別々に記録しなくてはいけないので不便だったんです。
また、その記録をアルバイトの方に依頼すると、入力忘れが起こることもありました。さらに、私が出張でしばらく圃場に行けないときに、圃場の状態がわからないことも不安でしたね。
ーーそんななか、アクト・アップを利用しようと思ったきっかけはなんですか?
養殖と農業をまとめて管理できる・測定項目が自由にカスタマイズできると聞いて、使ってみることにしました。
生産管理・研究開発・人材育成・企業PRに活用

ーーアクト・アップをどのように使っていますか?
苗を植えた・餌をあげたなど、作業を行うたびにその数量を入力しています。また、温湿度などはセンサーを導入して、自動で記録しています。養殖と農業の作業の記録をまとめてできるようになったうえ、一部の項目は自動記録を行えるようになったので効率的になったのはもちろん、入力忘れも減りました。
さらに、リアルタイムで情報が反映されるため、圃場に行けない期間が続いても、農作物の生育状態や圃場の様子がわかるようになりました。
また、生産方法に合わせてカスタマイズできるのも助かりますね。「餌やり」「苗植え」など、自分たちが普段行っている作業を行っている名称で数量集計機能をできるので、わかりやすいです。さらに、自動で集計されたデータを、グラフやレポートに活用できるのも便利です。飲食店から必要なレタスの量のご連絡をいただいてから、過去のデータを元に生産量や播種のタイミングを決めるなど、生産管理の計画立てにも役立っています。そのほか、データを元に研究開発したり、栽培管理が失敗したときの原因解析をしたりもできます。

ーー他にはどのように業務に貢献していますか?
アクアポニックスは環境に優しいと言われる農法なのですが、農場単位の環境負荷は数値化できていませんでした。アクト・アップでデータを集計することで、二酸化炭素をどのぐらい削減できたか、資源の循環効率がどのぐらいよくなったかなどを数値化ができるようになったのも助かりますね。その結果をSDGsレポートとして発表し、企業PRにも活用できるようになりました。
さらに、人材育成にも役に立っています。というのも、弊社はアクアポニックスの設備の販売も行っています。設備を導入してくださったお客様にもアクト・アップを活用してもらうことで、遠隔からデータの状況把握・栽培指導を行えるようになりました。もちろん、経験を積めばみなさんどのタイミングでどの作業をすれば良いのかわかるようになっていきます。ただ、従来はそれにすごく時間がかかっていました。アクト・アップを導入してからは、データという根拠を元に判断ができるようになるので短期間でのスキル習得が可能になっていますね。海外展開も視野に入れていますが、この方法で海外でも同じように指導ができると思います。アクアポニックスの記録・分析に特化した機能を備えているからこそ、リモートサポートを実現できると考えています。生産者の少ない栽培方法ほど、リモートでサポートして技術伝達できることがキモになりますね。

ーーこれらのアクアポニックス専用の機能を、サービスとして提供しているのが「アクポニ栽培アプリ」ですね。
はい、アクアポニックスの生産管理データを一元管理できる「アクポニ栽培アプリ」として2022年にリリースしました。リリース後も、追加したい機能があれば相談して、一緒に開発してもらっており、どんどん使い勝手が良くなっています。
アクポニ栽培アプリの詳細は以下から確認できます。
データ解析や栽培管理アドバイスAIの開発も
ーー今後はどのようにアプリを活用する予定でしょうか。
収集したデータを解析して、次の栽培の方針立てに活用するわけですが、この解析を人がやろうとするとなかなか大変です。それを代わりにやってくれるAIの開発にも現在取り組んでいます。また、お客様への栽培管理のアドバイスをAIがしてくれる仕組みも整える予定です。さらに、生産状況に応じたハウスの保温シートや遮光シートの開け閉め等の自動環境制御を実現させたいですね。資材の調達やできたものの出荷・流通などのデータの活用を通じて、サプライチェーンの最適化を行っていきたいです。

ーー最後に、アクポニさんが現在注力していることについて教えてください。
今年、東京の虎ノ門にサラダボウル専門店である「AQUAMO salad(アクアモ サラダ)」をオープンしました。野菜の味に深みがあるとご好評いただいています。トマトなどは、近隣の農家さんから美味しいものを提供しています。また、将来的にはアクアポニックスで生産したニジマスやサーモンをサラダボウルに乗せられるようにする予定です。アクアポニックスは環境に優しい農法であり、そうして作られたサラダを食べてもらうだけでも環境負荷について考えてもらうきっかけになると思います。

私たちは、「地産地消」や「Farm to Table」という考えを大切にしています。なぜかというと、生産者としては自分が作った作物に対して消費者の意見を聞けると、生産のモチベーションが大きく上がるのです。また、消費者の立場からすると、生産者を身近に感じ関わってもらうことは、農業や一次産業について考えてもらうきっかけになると思っています。AQUAMO saladに訪れていただくのはもちろん、農場見学や収穫体験も行っているので、ぜひ生産者・消費者関係なく、一緒にできる取り組みを増やしていけたら嬉しいです。
(画像提供:アクポニ)

