九州北部で最大の養鶏場である有限会社青木ブロイラー様。
同社ではアクト・アップを導入し、鶏舎の見回りや環境設定にかかる時間を大幅短縮。労働時間を20%削減することに成功しました。
アクト・アップ導入の決め手はコストパフォーマンスのよさと生産者目線の対応だったと語る同社代表取締役 青木 宗昭さんに、アクト・アップを使用してからの変化や使い心地について話を聞きました。
温度管理に頭を悩ませ、睡眠時間を削る日々
ーー養鶏場の規模を教えてください。
九州産「華味鳥」を年間120万羽ほど出荷しています。夏場の羽数は少し減りますが1回転あたり約25万羽出荷し、年間5回転しています。従業員数は13名です。各農場の日常的な管理をメインで行っているのは3名で、入雛時の管理、出荷、出荷後の鶏舎の洗浄などは役割分担しています。
ーーアクト・アップを導入する前はどのような点に悩んでいましたか?
温度管理です。とくに、夏場と冬場は鶏にとっての適温支障が出ただけで死鳥数が増えるため、気が気ではありませんでした。夜中に心配になって、目が覚めて鶏舎に足を運んだり、温度監視だけ可能なアプリをつけて夜な夜な確認していました。一度、夜間に換気扇が止まり、鶏舎内の温度が高くなったために死鳥が増えて以降、より神経を尖らせていましたね。お昼ご飯を買いに行っている間に風が吹かず、心配になり急いで鶏舎に帰ることもありました。
他社の温度監視システムにはない機能をフル活用中
ーーそのような状況の中、アクト・アップを導入した経緯を教えてください。
それまでは他社の温度監視システムを使っていましたが、契約が切れたタイミングで別の製品を探すことにしました。知り合いから「温度と湿度を測定できる製品があるよ」と紹介されたのがアクト・アップです。
他社製品も同時に検討しましたが、カメラや機器の値段がとても高かった。それに対してアクト・アップは、インターネットで誰でも買える機器を利用してシステムを組んでいるのでとてもコストパフォーマンスがよいのです。市販の機器ですから、故障した時も自分たちで交換できてありがたいですね。また、アクト・アップのサービスリリースからまもない時期での導入だったこともあり、「要望にお応えするのでなんでも言ってください」と言ってもらえたのも、生産者の目線に立ってくれてうれしかったですね。
ーーアクト・アップをどのように活用していますか?
温度・湿度の推移、鶏舎につけた監視カメラによるリアルタイム画像を24時間確認できるようにしています。また、夏だと30℃以上になった場合、冬だと16℃を下回った場合に警報が鳴るように設定しています。さらに、飲水量の測定や、AIによる体重測定機能などアクト・アップの機能をフル活用中です。
ーー実際に使ってみて感想はいかがですか?
とても使いやすいです。というのも、「入雛した日付別に画像をモニターに表示したい」「ダッシュボードはこの形にして欲しい」「文字をもう少し大きくしたい」と一つひとつ細かくお願いをしていますが、その通りにしていただいているおかげですね。柔軟性と拡張性が高く、生産者の意見をしっかり吸い上げてくれています。導入当初はバグが起こることもありましたが、改良に改良を重ねているようで日々使いやすくなっています。
死鳥率も、人の精神的ストレスも低下
ーーアクト・アップを導入したことにより、どのような効果がありますか?
過去に使用していた温度管理システムは、30分間隔でしかデータを確認できませんでしたが、アクト・アップでは10分間隔で確認できます。30分間鶏舎に異常があると鶏が致命傷を負う可能性が高いですが、10分なら対応すれば間に合います。「これ以上鶏舎内の温度が上がったり下がったりしたらまずい」という状態になる手前で警報がなるので、早め早めに対処でき、死鳥率を下げられるのです。
さらに細かいポイントでいうと、鶏舎の換気扇が止まっているときや電気がついていないとき、ひよこが柵から逃げたときなどの早期発見が可能です。また、先日イノシシによるエサの食い荒らし被害があったのですが、カメラによって侵入経路がわかり、そこを塞ぐことで再発防止ができました。さらに、台風など外に出るのが危ないときにもカメラを見ていれば状況がわかりますし、近所で花火があったときも大きな音がするたびに鶏たちが驚いて逃げる様子を観察でき、圧死をしないように対処できました。
ーー衛生管理の面ではどうでしょうか?
死鳥をカメラで見つけられる場合があり、死鳥を探す時間が短縮され病気の蔓延を防げますし、病気が発生した場合もカメラ映像によって原因の予測が行えます。さらに、冬季は鶏舎内温度が下がることで鶏がお腹を壊し、薬が必要なことが多かったのですが、適切に温度管理できるようになってから薬の必要な量が減りました。
どこにいても鶏舎の状態を確認できるため、安心感があります。そのため、夜も以前よりよく眠れるようになり、管理する人間側の精神的ストレスも緩和されました。
約20%の労働力を削減、人材育成もスムーズに
ーーアクトアップを導入したことによって、生産効率は上がりましたか?
開放鶏舎1ロット(4鶏舎:22,000羽)に対して、従来は1,415時間作業をしていたところ、アクト・アップを導入してから1,132時間にまで短縮でき、約20%の労働力削減を実現しました。労働時間の大部分を占めていた死鳥チェックのための見回り、環境調整の2つの時間を大幅に削減できるようになったためです。AIによる体重測定が常に高い精度で行われるため、体重測定に必要な時間も短くなりました。
ーーそのほか、導入したメリットはありますか?
人の指導にかかる時間も大幅に短縮できるようになりました。今までは新しい従業員が一人前になるまで、3,4年はかかっていました。季節ごとに適切な対応を身につけねばならないため、「今年の冬の時期の知識を活かせるのは来年の冬」という状態で、なかなか知識が蓄積していかないのです。鶏の気持ちよい状態を瞬時に察して、行動を見て寒い暑いを肌で判断できるようになるまで時間がかかりました。
しかし、アクト・アップを導入してからは、カーテンの開け閉めのタイミングや適切な温度を過去のデータを参照して誰でも学べるため、初年度から即戦力として活躍してもらえるようになりました。というのも、紙での管理だと見返すのに時間もかかりますし、古くなると紙が破けて管理がままならないこともありますが、アクト・アップではデータを検索して情報をすぐに取り出せるので養鶏初心者でも再現性高く作業できるのです。過去のデータとの比較もスムーズなため、作業の反省も、共有もしやすく重宝しています。
アクト・アップのさらなる進化に期待
ーー今後アクトアップにどのようなことを期待していますか?
温度センサーに応じて、カーテンが自動開閉する仕組みがつくと格段に作業が楽になり、精神的負担も軽くなります。
また、AIで鶏の異常行動を検知して通報が鳴るような仕組みがつくとよいと思います。たとえば、体調の優れない鶏の声や挙動、開口呼吸の有無などをAIが感知して通知してくれると、異常の早期発見につながりますね。
カメラやセンサー、AIや自動開閉カーテンがついたとしても、実際に鶏舎に足を運んで観察することは今まで通り行わなくてはいけません。ただ、AIにデータを蓄積することで、その膨大な情報を元に一緒に対策を考えていくということは鶏により良い環境を提供するために必要なことだと思います。自分で判断するだけではなくて、AIも頼りながら試行錯誤できそうで、ワクワクしています。
アクト・アップには生産者の意見が取り入れられ、鶏にとって快適な環境を再現するためのデータがどんどん蓄積されています。鶏に優しいだけでなく管理をする生産者の労働力も大幅軽減できるようになることに期待しています。
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