【みかん生産 AI・IoT利用】反収8t超え!?落葉を減らし生産量能力の高い果樹を育てる

今回は、アクト・ノード広報担当のゆうが、代表百津にみかん生産のノウハウを教えてもらうブログです。


一般的なみかん農家の1年間あたりの平均の反収は約2.2t。3.5t取れると、名人の域にあると言われています。

そんななか、10年平均で反収7.5tで生産し続けているのが愛媛県真穴エリアのかんきつ農家の達人です。進化した栽培技術を採用し、みかんのポテンシャルを引き出す生育方法を編み出しています。

百津

急速に生産者が減っている日本において、従来の栽培方法では、みかん生産の持続性が担保できません。

各農家さんが規模を拡大し、少人数でも生産を継続できる体制を整えて、高収量・高収益を得られないと、値段が上がり、私たち一般消費者は今までのようにみかんを気軽に食べられなくなってしまうんです。

生産性の高い生産技術を持つ農家さんを見本として真似ができれば、みかん農家一軒あたりの収量と収益が上げられると考えています。

そこで弊社は、達人の栽培技術をIoTやAIで可視化し、再現できる仕組みの開発を進めています。

目次

みかんに寄り添った灌水が可能

達人の卓越した技術の一つが、灌水です。

愛媛県真穴エリアの多くのみかん農家は、スプリンクラーを用いて、1回あたりおよそ10mm(降水量換算、1㎡あたり約10ℓ:比較的強い雨と同じくらい)の灌水を行っています。この方法は手間がかかり、かなりの労力になるため、頻繁に水を与えることができません。そのため、一度に大量の水をスプリンクラーで放水し、しばらく土壌に水分がある状態をキープするようにします。

そして、土壌が乾いてきたタイミングで再び大量に灌水をします。その結果、みかんの木は強い水ストレスを受けてしまいます。

百津

土壌がカラカラになったタイミングで植物は強い水ストレスを受け、体内から水が逃げないよう対策を取ります。その対策が、落葉です。

落葉すると、光合成能力が下がるため収穫量が自ずと下がっていきます。

ゆう

スプリンクラー灌水は、人手が必要で労力がかかる。そして、一気に灌水するから植物が強い水ストレスを大きく受けてしまう。その結果、落葉が起きて、収量が下がるのかあ。

一方、達人は愛媛のみかん農家のなかで先駆けて、10年以上前から「マルドリ方式(マルチの下に点滴チューブを設置し、自動で灌水を行う方式)」を導入しています。マルドリを使うことで、灌水や液肥の投入が細かにコントロールでき、適正な範囲で土壌中の水分量をキープできているのです。

その結果、みかんの木が受ける水ストレスがマイルドになり、ほぼ落葉しないため光合成能力が高く維持され、高品質のみかんを大量に生産し続けられるのです!

(灌水の適正範囲に関するイメージ画像)

ゆう

今までのみかん栽培では人間のペースでしか灌水できなかった。でも、達人はみかんの木が好む灌水をしているわけですね!マルドリ方式という新しい技術を取り入れたからこそ、実現できたと。ということは、マルドリを導入すれば、誰でも名人の技術が再現できるんですか?

百津

もちろん、そんな簡単ではありません!「木の状態を整える」ことも大事です。

水分量をコントロールせず、みかんの根を自由に伸ばすと、根は水を求めて地下深くへと伸び続けてしまいます。すると根を制御できません。場合によっては、地下水から常に吸水してしまう場合もあるのです。その結果、灌水をしても水分や養分を効率よく吸収できない木になってしまいます。

一方達人は、達人は、みかんの木が受ける水ストレスをマイルドにするために、「根を浮かせる」作業を行っています。植え付け初期から、土壌の浅い(地表面から10cm程度)箇所の水分量をマルドリによって一定にキープします。すると、根が地下の奥深くに潜っていかなくなります。その結果、灌水して与えた水分や養分が効率的に吸収できる木になるわけです。

(左側の画像が達人のみかんの木のイメージです)

ゆう

灌水を適切に行うために苗が小さいうちから、根を調整することが大切なんですね。木にマイルドストレスがかかりやすい状況を作り出しているんだ……!!

次回は、達人の技術の詳細・それを可視化する弊社の取り組みについて、さらにご紹介していきます!

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この記事を書いた人

カスタマーコミュニケーションやPR記事、事業や技術紹介ブログの作成を担当。民間企業でイチゴを研究。農学博士。

好きな生きもの:イルカ

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